〝さいたま市と国連〟教育について。細田さいたま市教育長と尾池ユネスコ代表部日本大使の対談②

〝さいたま市と国連〟教育について。細田さいたま市教育長と尾池ユネスコ代表部日本大使の対談②

2022年8月5日(金)16:00~17:16

さいたま市役所教育委員会

対談者:  細田眞由美さいたま市教育長(以下「細田」という。)

              尾池厚之ユネスコ代表部日本大使(以下、「尾池」という。)

              吉田浩司(以下「吉田」という。)

SDGs未来都市であるさいたま市教育委員会の細田眞由美教育長と、国連の教育機関であるユネスコ代表部日本大使である尾池大使との対談

(写真上 さいたま市役所教育委員会にて。右から  尾池厚之ユネスコ代表部日本大使、細田眞由美さいたま市教育長、吉田浩司氏 )

対談①はこちらへ https://acore-omiya.com/hos1/

細田:私の構想10年で、それで4年前に開校したインターナショナル・バカロレア校の学校のさいたま市立大宮国際中等教育学校があります。

色々な国のバックグラウンドがある子供たちがおりまして、主要言語が授業のかなりの部分英語で、とっても活発にやっております。さいたま市の模擬国連を今回初めてやってみて、手ごたえもありました。

同じインターナショナル・バカロレア(IB)校として高知県立高知国際中学・高等学校も参加して、それから、本当は札幌市立札幌開成中等教育学校のIB校も参加する予定だったのですけれど、コロナ禍で来られなくなったので、次は、札幌開成や高知や、広島県立広島叡智学園など集まることができればと思います。

さいたま市にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校があります。そこで「さくらプロジェクト」というアジアの子供たちを、サイエンスの学習で、日本に招聘するプログラムなのですが、

私は、SSH校の校長だったので、私が校長時代に、中国、韓国、ブルネイ、マレーシアとシンガポールの子供たちを招聘して、意見交換もしました。そこで、次回の模擬国連のときに招聘できれば、本物の国連総会のような取組ができると思います。

尾池:ユネスコにおいて私が直接関係していることではないのですが、ユネスコスクールというのをご存知でしょうか。埼玉県でも何校かなっておられると思います。日本全国で1100校ぐらいで多いんですよ。日本が一番多いんですけど、世界のユネスコスクールの1割が日本にあるくらい多いんですよ。

別に、何かものすごく大きなオブリゲーションあるわけではないのですが、ただ何か繋がりはいろいろあるんです。ユネスコ本部で認定をすることになっています。ユネスコ国内委員会というところが、文部科学省と連携して、国内委員会をやって、国内委員会から申請をするんですが、また何かご興味があれば、是非、ご検討ください。

細田:ありがとうございます。それからバカロレアの教育理念って、実は、突き詰めてみると、今の学習指導要領に非常に近いところがあって、OECDのEducation2030の、まさに、その考え方って、IBの教育理念にとても近いものがあるなと思いますね。

世界中が、そういうキーコンピテンシィを大事にする、そういう目標になっていくんじゃないかってそんな傾向を感じました。

尾池:国連で、今年の9月19日に教育サミットってがあるんですよ。これはトランスフォーム・エデュケーション・サミット、TESって言われているんですけど、国連事務総長の呼びかけで行われることになっています。

このTESのこころはですね、やっぱコロナの結果、世界中で教育の被害が生じていて、最近ユネスコとユニセフと、それから世界銀行、実は、他にもビルゲイツ財団とか一緒になって行った調査がありました。

世界中でやっぱりものすごくたくさんの子供たちが学校閉鎖、その他で教育の機会を失って、そこで失われる可能性がある生涯賃金が21兆ドルに達するんですね。

まさにそれなんですけど、そのコロナからの復興においては教育が大事だということで事務総長が招集をしてやるんです。なぜやるかというとその中身を詰めるということではなくて、それに首脳や財務大臣を巻き込んでやらないと、教育大臣を一度いくら集めてやっても・・・。

細田:お金が動かない。

尾池:そうなんです。それでこのサミットをやるという、そういう趣旨です。

細田:すごい、すごい、目的が明確な教育サミットって。世界的にもダメージが大きい、経済的にもダメージが大きい、いろんな面でダメージが大きい、まさに教育を救っていかなければならないって感じですよね。

例えばさっきの環境教育にしても、ナッジ理論っていうか、やっぱり子供をちょっと背中を押してあげたり、子供に気づきをいっぱい与えることによって、これってものすごく効果が出るんで、それって割とアカデミアでも証明されているので、やっぱりSDGsの考え方も、子供たちが本気になると、大人も本気にならざるを得ない、そういう構造には、なっていくんだろうなと思うんです。

実はですね、さいたま市のSDGs教育は、令和元年ぐらいから本気で始めまして、最初は、持続可能な世界の為に、17のゴール、169のターゲットが、なにか、すごく知識みたいなものが先行している。

子供にとってみるとやっぱり行動を伴うっていうのが一番大切だから、振り返りシートを作ってみようと。そのSDGsの教育を自分たちが、その教育として享受する前に、あれ、意外に今まで自分たちが学んできたことや、やってきたことって、そういうことに繋がっている、まずそこから気づこうと。

当時は小中高特別支援学校168校が全部、全員が振り返ってみたんですよ。なるほど。そうしたら、意外に自分たちがその持続可能な世界のためにこんな学びをしてきたとか、こんなアクションを起こしてきたっていうことがいっぱいある事に気づいて、それをまとめたシートをHPに掲載しています。

とにかくアクションを起こさなかったら、いろんなことを考えてもダメダメっていうのが、子どもたちの結論ですね。ですから本当に小さいことでも、毎日当たり前のようにやっていこうと、毎日当たり前にしていくってことが、繋がっていくと、あのハチドリの一滴みたいなものですよね。

森が、ばあっと燃えているときに、ハチドリが行ったり来たりしながら、チョロチョロっとくちばしで水を運ぶけれど、みんなに馬鹿にされるかもしれないけど今できることは、それだよねということが、子どもたちにすごく浸透してきています。

吉田:今日は、お二人貴重なお話をありがとうございます。細田教育長の留学体験からも、今のさいたま市の英語教育が全国的にも特出していることに繋がっているんでしょうね。

世界の複雑さや多様性を知るために、今の若い人たちには、是非、世界に出ていって、色々なことを学んでほしいですよね。その為に英語教育は重要になります。

お二人のお話は、実際の教育の現場での取組み、そしてコロナ禍後の教育を取り囲む国際的な取組みの接点を結び合わせられるような良い機会となりました。本当にありがとうございました。

対談①はこちらへ https://acore-omiya.com/hos1/

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